取り組みと背景

これまでの取組みと背景

第Ⅰ期 キャンパスアジアプログラム

 大学の世界展開力強化事業 (Re-Inventing Japan Project) 1)は2009年10月に開催された日中韓三国政府間サミットにおいて,三国の大学間交流の更なる発展・強化が合意されたことを受け,アジア及び米国等との高等教育ネットワークの構築を図ることにより,我が国の大学の世界展開力を強化し,グローバルな社会で活躍できる人材を育成するため国際的な枠組みでの高等教育の質保証を図りながら,外国人学生の戦略的受入れ、日本人学生と日中韓・米国等の外国人学生との協働教育による交流を行う事業に対して重点的に財政支援することを目的として文科省により実施されている.この事業の一環であるキャンパスアジアプログラムCAMPUS Asia (Collective Action for the Mobility Program of University Students)は、日中韓の三国において大学間で1つのコンソーシアムを形成し,単位の相互認定や成績管理、学位授与等を統一的に行う交流プログラムで、2011~2015年度にわたって実施された.
 具体的には九州大学(九大)が上海交通大学(上海交通大),釜山国立大学校(釜山大)とでコンソーシアムを形成し,エネルギー問題とそれに関係する環境問題に関わる科学と技術(Energy and Environmental Science and Technology (EEST) :エネルギー環境理工学)分野において,深い専門性とその国際的な応用展開能力を備えたグローバルに活躍できる高度研究者・技術者を育成するための協働教育体系を,各大学のカリキュラム/ディプロマポリシーとの関係を尊重しつつ設計し,プログラム内容の情報公開による透明性確保と統一的単位認定など真の意味で質保証を伴った教育を行い,大学院課程でダブルディグリー(以下DDと略記)授与が可能な理工系大学院協働教育プログラムを共同開発し,本格的実施した。
 本プログラムは対外的に高く評価されており、日本工学教育協会より工学教育賞(文部大臣賞)の栄誉をうけた。

第Ⅱ期 キャンパスアジアプログラム

 第Ⅰ期のプログラムが成功裏に終了したことを受けて、日中韓三国は、プログラムを継続させることで同意し、2016年9月より第Ⅱ期キャンパスアジアプログラムをスタートさせた。第Ⅱ期では

(1) 第Ⅰ期で構築したエネルギー環境理工学(Energy and Environmental Science and Technology)分野において修士課程ダブルディブリーが取得出来るプログラムの定着、恒常化をはかり、あせてジョイントディグリーまたはそれと同等のプログラムを追求する。
(2) 博士課程においてもEEST分野でダブルディグリーまたはジョイントディグリープログラムを開発試行する。
(3) プログラムのオープン化、また可能なら有料化も念頭に、キャンパスの更なる国際化,グローバル化の促進をはかる。

ことを目指している。

構想の目的

第Ⅰ期キャンパスアジアプログラムでは、エネルギー問題とそれに関係する環境問題に関わる科学と技術(以降「エネルギー環境理工学」という。)分野において、将来グローバルに活躍できる高度研究者・技術者を国際連携の下で育成するため、修士課程でダブルディグリーを取得可能にした理工系大学院協働教育プログラムを、九州大学(日本)、上海交通大学(中国)、釜山大学校(韓国)が共同開発した。 

第Ⅰ期キャンパスアジアプログラムで開発したプログラムは、 九州大学(日本)、上海交通大学(中国)、釜山大学校(韓国)が協働して開発してもので、エネルギー環境理工学分野において大学院修士課程の学生にダブルディグリー(DD)の取得を可能にするもので、母大学に於ける修士課程のプログラム履修に加えて、Three in one module と称する3つのプログラム、(1)相手先大学への半期の留学、(2)三大学が協働実施するサマースクールでの学習, (3)国際学術セミナー出席や校外学習、により、エネルギー環境理工学を学んで、所属する大学の通常の修了年限内に、DDを取得できるようにしたものであった。

第Ⅱ期キャンパスアジアプログラムでは、第Ⅰ期で開発されてダブルディグリープログラムの定着化/恒久化をはかると共に、博士課程への展開を目指している。
加えて、サマースクールや国際学術セミナーを、DD生以外あるいは他大学の学生にも解放することにより学生交流を促進し、エネルギー環境理工学(EEST)分野において、より多くのグローバル人材または国際人材の養成をはかると共に、キャンパスの国際化の促進を目指している。今後はこのプログラムの定着化/恒久化をはかると共に、博士課程への展開を目指す。

構想の概要

本プログラムにおいて育成を目指す「エネルギー環境理工学グローバル人材」の具体像

(1)専門分野の深い知識の修得とそれに基づく研究開発能力
(2)エネルギー環境問題の現状の理解と発展的考察力
(3)グローバルに活動するために必要な英語力
(4)グローバル化時代に求められる研究者・技術者倫理、異国の文化・人・社会の理解を備えた人材である。

大学院協働教育プログラム

 上記人材の育成のために、エネルギー環境理工学分野の深い専門性とその国際的な応用展開能力の涵養をポリシーとする九大、上海交通大、釜山大の三大学が協働して、理工系大学院協働教育プログラムを構築した。本プログラムの目的を実現させるために総合理工学府内に「エネルギー環境理工学国際コース」を新設した。ダブルディグリーを目指す学生は、所属専攻の「専門教育カリキュラム」を履修した上で、使用言語を英語とした「エネルギー環境理工学カリキュラム」を履修し、半期の留学により留学先での履修要件を満たした上で、英語で書かれた2大学共通の「修士論文」の審査に合格すれば、ダブルディグリーの取得が認められる。
 「エネルギー環境理工学カリキュラム」では、インターンシップ科目、課題解決型科目、知財を含む技術者・研究者倫理科目等を設定しているだけでなく、留学先大学との間で、単位の移管/互換制度を活用して、所属専攻の単位取得要件を満たせるようにしてある。
ダブルディグリー取得修了生には、3大学の学長が署名したダブルディグリー取得証が授与される。
 また, 「エネルギー環境理工学国際コース」では、留学を必須としてダブルディグリーコースとは別に「エネルギー環境理工学カリキュラム」を履修する学生を同コース生とし、無事履修を修了した学生には同国際コースの修了証が授与される。

質保証を伴ったカリキュラム体系の設計と成績管理、学位授与の統一的実施

日中韓大学コンソーシアム内、各大学に設置するPDCAリーダー委員会、PDCA委員会の主導のもと、各大学のカリキュラム/ディプロマポリシー、単位互換や単位・学位授与に関る法制度との関係を慎重に考慮しつつ、シラバス・成績評価基準の共通化、共同教材の開発や共同講義による教育方法・レベルの標準化、単位認定と学位授与の審査の共同・統一化、出口管理の徹底等により、3大学の質保証の伴ったカリキュラム体系の構築を、取り組み内容をホームページで公開すること等により透明性をもって推進する。

日中韓の学生へ魅力的なプログラム提供

参加学生に対して、グローバル性の涵養のみならず、アジアを中心とするグローバルなキャリアパス形成を可能とするために、各大学において、留学が就職の障害とならないような就職情報の提供やメール相談を行うとともに、参加学生への企業からの冠奨学金等の獲得など修学支援・就職支援・生活支援を強化し、日中韓の参加学生を全面的にサポートする。