専攻概要
量子効果を利用した科学技術が急速に進展し、電子技術に代表される先端学術技術の裾野はますます拡大しています。そこでは、現代社会の抱える諸問題の解決と21世紀における人と自然の調和のとれた社会の発展のために、先端的な物質やデバイス、そのためのプロセス等の基盤となる科学技術が追求されています。
物理学、電気電子工学、応用化学、材料工学、化学工学、機械工学などの基礎教育を終えた学生を対象に、量子過程の基礎、材料・デバイスプロセス及び量子過程の工学的応用に関連する学際的教育を行い、横断的専門知識を修得させます。また、連携講座を活用し、国内外の先端的研究者による実践的教育・研究指導を行い、先端科学技術に関わる高度な専門知識を有する技術者及び研究者の養成を行ないます。
本専攻の修了生は、化学、新素材、エレクトロニクス、情報・通信、エネルギー、機械・自動車、プラントエンジニアリング、鉄鋼・金属等の分野、官公庁・学校等、極めて幅広い分野で活躍しています。
物質に関連する理学と工学を総合的に捉えて、物質、材料、化学の学問分野を統合し、物質の高次構造や特異な反応・機能の計測・解析、新しい有用な機能を持つ物質の創製など、物質科学本来の目標をさらに探求する一方で、地球上の生命の豊かな営みを保証するために、新しい物質科学の体系化を推進します。
本専攻には、固体表面科学(固体表面の構造や反応の実験と量子理論)、固体材料設計学(無機・金属・合金・セラミックスなどの特性と設計開発)、分子物性計測学(分子・分子集合体・高分子の構造・反応・物性の計測と解析)、材料物性学(先端素材の力学的性質の解明)、物質構造化学(特異な構造や物性を有する分子の設計と合成)、有機合成化学(新しい有機反応や合成試薬の開発)、融合材料科学(機能性分子・高分子の合成と物性解析)、新素材開発工学(新素材の解析と開発)、グローバルイノベーションセンター(新エネルギー領域)、基幹教育院自然科学実験系部門(分子科学)、中央分析センター(機能性セラミックスの精密合成と解析)の11の大講座があり、研究教育活動を行なっています。
物質はあらゆる産業の基礎であり、本専攻の卒業生は物を扱う各分野で必要とされています。化学工業・石油工業・製薬工業・食品工業・製鉄工業・金属工業・電気電子工業・機械工業などが代表的なもので、研究所や開発部門で新素材やその製造過程で活躍しています。一方、国の内外の大学や国公立の研究機関においてその将来を担う人材として嘱望されています。
21世紀に入り、全地球的な規模でのエネルギー問題は大きな転機を迎えようとしています。人口の増加と生活水準の向上によるエネルギー消費量の急激な増加は、現状のような化石資源への依存状態を続ける限り、人類社会文明の発展がそう遠くない将来に危機を迎えざるを得ないことを示しており、環境保全を前提とし、広範な生活活動を支える大規模なエネルギー源の開発が急務となっています。
先端エネルギー理工学専攻では、核融合や核分裂を利用した先進的核エネルギーの開発や水素、太陽エネルギーなどの多角的利用を目指した新型エネルギー開発ならびにその基礎学理に関する学際的な教育と研究を行ない、21世紀のエネルギー問題の解決に向け、指導的役割を担う広い視野と創造力をもった研究者や技術者を養成します。
本専攻には、大学院総合理工学研究院と応用力学研究所に所属する教員が担当する 4つの大講座があり、また国立研究所及び企業に所属する研究者が九州大学の教員として教育に従事する連携講座が1つあります。これらの大講座はさらに13の研究室に分かれ、各種エネルギーの専門分野および学際分野にも配慮した大学院教育を行っており、基礎と応用にわたる専門知識を修得できるようになっています。
本専攻の卒業生は、エネルギー、エレクトロニクス、材料、機械、化学、プラントエンジニアリングをはじめ、ソフトウェア、通信、情報産業等の広い分野で活躍しています。
昨今、環境問題やエネルギー問題が話題にならない日はありません。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨などの地球規模の問題から、水や空気の汚染、各種廃棄物など、現代社会はさまざまな問題に直面しています。環境の保全と経済成長を両立させ、生態系との共生を念頭においたエコテクノロジーの創造やエネルギーと物質の循環を基本とするライフスタイルの確立が、いま急務の課題として私たちに求められています。
このような時代の要請に応え、環境エネルギー工学専攻では、環境負荷の低減や資源エネルギーの有効利用、省エネルギーなどの技術およびそれらの技術に基づく環境共生型社会システムの構築に関する教育研究を通して、総合的で広い視野をもち、次世代を担う創造的研究者や技術者を育成します。
本専攻は 3大講座7研究室で構成されており、エコテクノロジーの観点から、流体力学、燃焼、熱・物質移動、建築都市環境などに関する学理的研究や、各種エネルギー変換や熱交換、高レベルエネルギーのカスケード利用、自然エネルギーの有効利用などの研究を行なっています。
本専攻の修了者は、エネルギー産業、機械工業、建設産業、鉄鋼・金属産業、化学工業、エレクトロニクス産業など、広い分野の企業や研究機関で活躍しています。
大気海洋環境システム学は、気候変動メカニズムの解明と環境保全のための宇宙・大気・海洋情報の取得・解析・予測を行う地球環境科学と、地球の未開発資源・空間の秩序ある開発と大気海洋圏の適切な制御を図る大気・海洋工学とをこれらの両者に通底する自然流体科学を基盤として融合統一した学問分野であり、本専攻は、今日我々の生命環境を維持している大気海洋圏が直面している人類始まって以来の危機に対する方策の確立と人材の養成を目的として創設されたものです。
本専攻は、複雑な流体環境の諸問題を自然流体全体にわたる広い視点から総合的に把握し、解決することを目指す流体環境学、大気海洋理工学の複雑な非線形現象の素過程の解明と地球流体力学の体系化を目指す環境基礎解析学、計測や観測によって大気海洋環境の実体を明らかにし、環境保全や環境予測に資するとともに海洋開発や探査を目指す環境計測学、気候変動のメカニズムの解明と数値モデルの開発及び短期的な海況予報を目指す環境予測学の4つの大講座からなっています。修了者には理学、工学、学術のいずれかの学位が与えられます。
本専攻の修了者には、気象・海洋や環境アセスメント関連分野、コンサルタント、大学、自治体や政府関連の研究所、重工業、建設、造船、自動車などの各種製造業、情報・ソフト産業など幅広い分野で活躍しています。